LINE大躍進の陰で複雑化する親子の資本関係
日本で大躍進しているLINEその資本関係は複雑なようです。
ユーザー数は世界で3.3億人に及び、日本国内だけで約5000万人を誇るメッセージングサービスのLINE。ゲーム、ニュース・漫画の配信、アバターなど派生サービスも加わり、多くのスマホユーザーにとって、生活必需品ともいえるものになっています。
LINEとはどのような会社なのか。未上場企業だけに開示情報は限られ、その詳細はこれまでベールに包まれてきました。韓国の検索ポータル最大手として知られるNAVER(ネイバー)が100%出資する会社ということは開示されているが、かねてからLINEの森川亮社長が「日本法人は独自のビジネスモデルでやってきた」と語ってきたこともあり、日本法人の独自サービスのように受け止められてきた側面もあります。
しかし、LINEが急激な成長を遂げる過程で、親会社との関係やグループ内での位置づけが変わりつつある。その現状を明らかにしたのが下の図です。
LINEが急成長する過程で、親会社のネイバーはグループ構造を大きく変えました。
それまではNHNとその100%子会社のNHNジャパンという単純な関係だったが、昨年、NHNとNHNジャパンは社名をそれぞれネイバー、LINEへと変更。サービスブランドと社名を一致させたのです。
併せて、オンラインゲーム部門を企業分割しています。そちらに従来のNHNブランドを残した。NHNエンターテインメントはネイバーと同様、韓国証券取引所に上場しており、ネイバーの出資比率は9.5%のみです。
このグループ再編により、韓国本社が検索ポータルのネイバー、その傘下の日本法人がLINEを率いる体制を整えました。実際、ネイバー本社の広報は「LINEサービスのヘッドクオーターはLINEだ」と回答しています。
しかしながら、実際の話はそう単純ではありません。グループの資本関係、取引関係は、極めて複雑に絡み合っており、ネイバーやNHNエンタメは、LINEの運営にも大きな役割を果たしています。
たとえばLINEの海外展開の司令塔であるLINEプラスにはネイバーが40%出資しており、本社は日本ではなく韓国にある。スペイン、台湾、タイへの支社展開を進めているのも、この会社です。アバターサービスとして人気のある「LINEプレイ」を運営しているのも、LINE本体ではなく、実はLINEプラスの子会社なのです。
また、LINEゲームの中には、NHNエンタメが開発しているタイトルも少なくありません。代表作の一つである「LINE POP」も、実はNHNエンタメの作品なのです。
もっとも、LINEが急成長する中で、親会社が事業面での関与を深めていくことは必至だったのかもしれないません。
LINEは株式上場の準備を進めており、14年後半には実現する可能性が高い、と証券アナリストは分析しています。
成長が続くかぎり、LINEを取り巻く環境も変わり続けることは間違いないでしょう。